何年前だろう。
名古屋駅の新幹線口地下街で出店してたとき(物販でグッズ販売もしてた)、ふと立ち寄られたお客様がいらっしゃった。わたしより少し上の、小柄で明るい女性だった。
「猫の似顔絵描きます」ってポップを立ててたから、飼ってる猫の写真を見せてくださり、「帰りに取りに来ます」とおっしゃって帰られた。
その日の帰りにお渡しして、次の日だったか、またいらっしゃったのだ。そしてもう一枚、描かせていただいた。
耳が三角で大きくて、かわいい黄(茶?)トラネコのナッシー。
対面オーダーは、通りすがりのお客様との一瞬の一期一会の触れ合いだ。予告もない。定期開催でもない。一回で、それで終わるものだ。
数年経ってから、ある男性からメールをいただいた。
「飼い猫ナッシーの絵を描いて欲しい」という。
ご家族の方だった。思いもよらなかった。
同時に予感がよぎった。そして予感は、当たるものだ。
ナッシーは少し笑ったような顔で、こちらを見ていた。良い目だった。
お送りしてからしばらく経って、動画が届いた。ナッシー、捨て猫だったんだね。子猫のふわふわナッシー。ごはんを待ってるお行儀の良いナッシー。pc仕事を阻止するナッシー。わたしは写真しか知らないけれど、愛されてるナッシーをたくさん見せてもらった。わたしの描かせていただいたナッシーも、共演していた。
あれから一年。メールをいただいた。
「黒猫のクーを飼い始めたので、ナッシーと一緒に描いて欲しい」と。
想いは、簡単に時を超える。
同じなのだ。
ナッシーもクーも今、同じようにご主人家族の元で幸せに暮らしている。
まってて。もう少ししたら、お届けするから。クーちゃん、君のきょうだい。ナッシー、君の家族。いつもそばで見守ってあげてね。